レポートCases / Reports

DIGITAL CRISIS RESEARCH INSTITUTE

ランチタイムウェビナー

第20回『キュレーションメディアantenna*から読み解く「コロナ禍のトレンド変遷とwithコロナの話題作り」』

開催日時:2020年09月30日(水) 12:00〜13:00(11:45~入室開始)

パネリスト

桑江 令(くわえ りょう)

シエンプレ株式会社 主任コンサルタント 兼 シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所 主席研究員。 デジタルクライシス対策の専門家として、NHKのテレビ番組に出演したり、出版社でのコラム、日経新聞やプレジデントへのコメント寄稿も担当。一般社団法人テレコムサービス協会 サービス倫理委員も務める。

高橋 雅和(たかはし まさかず)氏

(株)グライダーアソシエイツ 執行役員、ビジネスプランニング局 副局長/antenna*室 室長。『TV Bros』『street Jack』『Men's JOKER』(創刊時より副編集長)などの雑誌編集を 各社にて担当。その後、出版社創業を経て、2006年よりメディア・シェイカーズ(電通・リクルートのJV)にて『R25』の雑誌・デジタル編集及び広告プランニング・制作に従事。2014年に同社ゼネラルマネジャー就任。2017年、グライダーアソシエイツ入社。プランナー、『antenna*』編集長を経て、2019年1月より執行役員。ヴィレッジヴァンガード公式 月刊フリーペーパー『VVmagazine』(発行:博報堂ケトル)の副編集長も務める。

コロナ前後で変化した人気コンテンツ

桑江:企業に何らかのリスクが発生した場合、検索エンジンやSNSなどのネットでは、企業名と共にそのリスクの内容が露出します。普段からポジティブな話題を露出・拡散するためには、移り変わるユーザーのトレンドを捉えた企画作りと、それらの話題を多くのユーザーに届ける手段を持つことが必要です。

そこで今回は、「キュレーションメディアantenna *から読み解く『コロナ禍のトレンド変遷とwithコロナの話題作り』」について考えます。キュレーションメディアとは、広義ではまとめサイトのこと。このうち、記事をユーザーが作るCGM(消費者生成メディア)が「プラットフォーム型」、自前で記事を用意するバイラルメディアが「メディア型」です。キュレーションメディアの狭義は「契約を結んだ他のメディアの配信記事を掲載するサイト」で、antenna *さんもここに含まれますね。

高橋:まずantenna *とは、というところのお話ですが、出版社系を中心としたWebメディア様と提携して、そこからお預かりしたコンテンツを配信しています。アプリに特化した媒体なので、ユーザーデータを取得しやすいという特徴がありますが、一番のポイントは単に集めた記事をすべて届けているわけではなくて、しっかりと編集部、人が目を通して「この記事なら」と思った記事だけを配信しているので、実はかなり手を掛けているメディアです。

桑江:我々もSNS投稿の観点ですが、世の中の大きなうねりとともに動いていくトレンドをしっかり追っていかなければならないと感じています。

高橋:各媒体から届けられるコンテンツを見ると、例えばコロナ前は手放しで「楽しいから出掛けようよ」という感じでしたが、やはり今は「出掛けよう」という部分は読者に判断していただくと言うか、「こういうスポットです」「コロナ対策をしっかりとやっています」という情報の届け方が多い印象です。これからは、お薦めされたから出掛けるというより、実際に出掛けるかどうかは読者が自分で判断する流れになるのかなと感じますね。

桑江:ある意味、発信側の責任に委ねるというのではなく、受け取り側が「どうする」と決めるような形にシフトしていると感じます。ですから、企業側の発信も、ある程度は復活しても大丈夫かなという気はしますね。

高橋:そうですね。ある意味、健全な方向に進んでいると感じます。

広告の反響データはマーケティングにも活かせる

桑江:コロナ禍において、自社のイベントやキャンペーンといったプロモーションをどのタイミングで仕掛けたらいいかと悩まれている企業の方は、こうした情報発信の推移も参考にしていただけるのではないかと思います。

高橋:2020年の月別の人気特集の推移を見ても、コロナ前の3月のトップは「スイーツを楽しもう」という外向きの内容だったのに対し、コロナ禍が顕在化した5月は「お取り寄せ」「お部屋」が1、2位。ただ、同様に注目された「マスク」に関しては当初、除菌方法や洗い方が話題の中心だったものの、6、7月になるとマスクでおしゃれを楽しもうというファッションのコンテンツに変化しました。9月の2位は「お取り寄せ」ではなく、「全国にいいお店がありますよ」というグルメガイドでした。

ちなみに、掲載するコンテンツはantenna *の特集で何が人気かというデータを基に選んだり作ったりしています。広告掲載の提案をする際も活かしていますが、その後の反響に関するデータもマーケティングに生かしていただいている形です。

桑江:今日のテーマの話題作りの中でいくと、自前だけではなかなか拡散しなかったり露出が増えなかったりというところを、そういった形でタッグを組むことによって、よりユーザーの目につく、露出できるようになるということですよね。

高橋:単純にたくさんの方々に話題を届けたいなら、もっと大きな媒体さんとか、いろいろな選択肢があると思いますが、やはり自社の商品、PRしたい商品についての情報をどういった方に届けたいかというのとantenna *のユーザー層がフィットする場合は、ご活用いただくパターンが多いです。衣食住や趣味の領域に時間とお金をしっかり使える方に情報を届けたい場合は、ぜひご活用いただければと思います。

ポジティブな話題を発信する手間と責任を意識

桑江:それらを踏まえ、ポジティブな企画をいかに発信していくかということについては、いかがでしょうか。

高橋:まさにantenna *の編集、編成方針が回答になるのかなと思っています。われわれはAIを活用しつつ、最後は人の目で記事を選んでいます。それだけ手間も掛かりますが、なぜそうしているかと言えば、記事を届けることに責任を持つため。責任を持ちながら繰り返し記事を届けることで、antenna *への信頼感が生まれているのではないかと信じながら続けています。こんな状況だからこそ、手間と責任をしっかり意識しながらやっていこうと。

桑江:なるほど。

高橋:われわれは、すべてデータドリブンと思われがちですが、実は人間味とかキュレーター個人の好みなども大事にしています。データ通りの情報でも読まれるかもしれませんが、媒体としての顔がなくなってしまう。わざわざantenna *に行くロイヤリティーが薄れてしまうのかなと。人間味・感覚とデータの両輪を大切にしながら、どちらかに偏らないコンテンツを出していくのが、antenna *という顔を作っていく上で大事だと思っています。

ユーザートレンドに乗り、キャッチーであることが重要

桑江:ありがとうございます。ここで、ウェビナー参加者からの質問です。オウンドメディアを取り扱う際の基準などはありますか。

高橋:オウンドメディアだから提携する、しないというハードルは設けていません。あくまでも、コンテンツありきで基準を設けて検討させていただいています。一番のポイントは、記事作りをどういった形でされているのか、どういった記事を配信されているのか。お問い合わせいただければ、検討はいつでもさせていただいています。

桑江:PV数の基準があるということも、よく聞くのですが。

高橋:弊社は大きいキュレーションサービスではないので、提携することによってどれだけのPVをお返しできるのかという問題もあります。ですから、提携候補のメディアさん自体のスペックと言うか、数値的なスペックのようなものは特に基準とはしていません。

桑江:あくまでも、メディアの中身が大事だということですね。2つ目の質問ですが、キュレーターが取り上げたくなるようなプレスリリースというのは、どのようなものでしょうか。

高橋:antenna *でのトレンドのようなものは、すごく大事にしています。一緒にコラボしたときに面白そうなオンラインイベントができそうだとか、antenna *のユーザーの方に喜ばれそうだというのが一番の視点です。トレンドにしっかり乗っていることと、すごくキャッチーであることが大事。商品自体もそうですし、リリースの書き方が面白いというだけで目に留まることもないわけではないので、さまざまなポイントが考えられると思います。

桑江:プレスリリースは、写真やタイトルにこだわりましょうという論調もあると思うのですが。

高橋:例えばPRのリリースにしても、antenna *に出てきても違和感なく画像が映えて、ユーザーの方がすごく喜んでくれそうだということも重要であると言えます。

桑江:ユーザートレンドを踏まえた話題を作っていけば取り上げてくれるメディアも増えて、それが自分たちのブランディングになるというのが最終的な結論というところですかね。