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ウェビナーレポート:【第77回ウェビナー】「話せる公式」を目指すサブウェイのコミュニケーション戦略

開催日時:2022年02月09日(水) 12:00〜13:00(11:45~入室開始)

SNS運用で徹底している「CTA」とは?

桑江:まずは、ファンベースで知られる御社の公式アカウントの運用戦略などについてお聞かせください。

松山:日本サブウェイがSNSを運用する上で最も大切にしているのは「CTA(コール・トゥ・アクション)」です。ファンをつくるためにサブウェイが考えたのは、ユーザーさんとの接触回数を増やすことで、アクティブサポートを重視しています。

佐野:マーケティングチームの体制を説明すると、日本サブウェイ共同代表の鈴木孝尚様と戦略&デジタル支援の企業様に全体の方針を出していただき、われわれNISSENが商品コンセプトやマーケティング戦略、SNS戦略などを策定しています。
それを基に、松山さんをはじめとする協力先の方と一緒に実行しているので、弊社がマーケティング業務のハブとなって大部分を代行しているということです。

松山:すべてのSNSは「気さくでお茶目な頑張り屋さん」というキャラクターの下で運用しており、Twitterは約82万人、Instagramは約4.9万人、TikTokは約2.8万人、累計すると約89万人のフォロワーを抱えています。
Twitterは「話せる公式」として日々お客様とコミュニケーションを重ねていて、月1,000~2,000件ほどのファンの方とお話ししています。Instagramは「頑張る人を応援する」という場としてクリエーターとのコラボや「サンドイッチおすすめ5選」などのまとめ記事を発信。TikTokは「サブウェイの中身」が見えるような親近感のある動画を作っていて、日々のカスタマイズなどを紹介しています。

桑江:なるほど。

Twitterのエゴサーチは月1,000件以上

松山:Twitterで重視しているCTAのポイントは、日々のエゴサーチに尽きます。恐れずに話しかけて会話を楽しみ、ユーザーさんが思わず話しかけたくなるようなコンテンツを作ることも意識して運用しているところです。

佐野:2018年1月のTwitterのフォロワー数は20万人に満たなかったので、この3年間で約4倍に増えました。
主な増加要因としては、リツイートキャンペーンを積極的に展開したことも挙げられますが、CTAやユーザーさんとのコミュニケーションを増やす取り組みなども通し、数だけではなく質も追求しています。
増やしたフォロワーはそのままにしておくのではなく、エイプリルフール企画や「サブウェイにやってほしいこと」などコミュニケーションを取りやすい仕掛けを多数実施しています。
「話せる公式」としての活動を強化する中では、月1,000件以上のエゴサーチでの接触もしています。
企業公式アカウントとしての発信量は第3位と非常に多いのですが、「構って」というニュアンスのフランクな問いかけにもユーザーさんから「大好き」という熱い返信があり、量と質の両面を追求できている状態です。
いよいよ最近は「手に届くアイドル」のような感じになり、サブウェイをテーマにしたユーザーさん同士の会話に公式として入り込んだところ、バズってトレンド入りしたということも起こりました。
公式に「いいね」をもらったのがきっかけで、実際に店舗に行って商品を購入してくださったお客様もいらっしゃいます。

桑江:CTAの具体的な成功事例があれば、ぜひお聞かせください。

佐野:「#今からお話ししませんか?」「#サブウェイなう」といったCTAの企画を通し、直接的に商品の良さを訴求しなくても「このブランドは面白い」「親近感を持てる」というイメージアップやロイヤリティーの向上に貢献できています。
一方、テレビのバラエティー番組でサブウェイ特集が放送されたときは、番組の実況をリアルタイムでツイートしました。それだけでサブウェイがトレンド入りを果たしたのですが、サブウェイより長い時間の特集を組まれたファストフード店はトレンド入りしませんでした。
コロナ禍で店舗集客が厳しかった2020年春には、自宅でサンドイッチ作りを楽しめるレシピを公開したところ、「売り上げにつながらないのに、こんな企画をやってくれた」と好印象を抱いていただきました。
さらに、多くのユーザーさんは「自分で作るより店で食べた方がおいしい」とサブウェイの価値を実感してくださり、来店していただくきっかけをつくることもできたのです。
また、フォロー&リツイートキャンペーンの具体案を募集した結果、「七夕に棚ぼた!?」というキャッチの企画が出来上がりました。ユーザーさんに絡んでいただいたことで、「自分ごと」化して参加数が増えるという結果につながったということですね。

エンゲージメントが強いアカウントづくりを意識

松山:2021年8月に始めたTikTokは当初、わずか2桁の再生回数でした。今はミリオンに到達する動画も出てきて、フォロワー数も2万人を超えています。
TikTokを運用する上で重視しているポイントは「カッコつけない!人柄を全面にだす」「視聴完了率にこだわる」「ユーザーとのコミュニケーションを大切に」の3つです。
TikTokは頭を使わず視覚的に楽しむプラットフォームなので、あまり難しくなく親しみやすい動画の方が好反応を得られます。TikTokはアルゴリズムが評価されることから、最後まで動画が見られたかどうかも重要です。
コメント欄にカスタマイズを載せると、コメントを読んでいるうちに視聴を完了してもらえる確率が高まるので、TikTokを運用されている企業様はぜひ実践していただきたいですね。
Twitterと同様、TikTokもエゴサーチをしてすべてのコメントに対応し、公式についたリプライにもしっかり返信することを徹底しています。

桑江:そうした取り組みの効果が、SNS以外にも波及した事例はありますか。

松山:フォロワー数を増やすと同時にエンゲージメントが強いアカウントづくりに力を入れた結果、1インプレッション当たりの費用対効果がかなり改善しました。購入者調査の結果、認知経路におけるSNSの数値もかなり増えたことも分かっています。

「中の人」たちはインターン生だった!

桑江:公式アカウントは何人で運用されているのでしょうか。

佐野:25人ほどのインターン生がTwitter、TikTok、Instagramの3つを回している状況で、サブウェイの社員はほとんど関わっていません。

桑江:大所帯で運用されている中で、「誤爆」などのリスクはどのようにコントロールされているのでしょうか。

佐野:マニュアル化を徹底しています。例えば、自分のシフトが終わったら公式アカウントからログアウトするとか、政治・宗教・セクシャルに関する発言、アカウントには絶対に触れないといったことです。
対応に困ったらすぐに、サブウェイ本社か我々の窓口にエスカレーションしてもらう体制も取っています。

桑江:インターン生に対する定期的な研修の機会などもあるのですか。

松山:インターン生の交流会やコミュニケーションにもかなり気を遣っていて、モチベーションの維持も含めてマネジメントを継続しているところです。
インターン内でもKPIを設けていて、コミュニケーションの件数や投稿企画のエンゲージメント数を日々ウォッチしています。「この企画は面白そうだから出す」という感覚値に頼らず、プロ意識の下で数字だけを信じて運用している形です。

真摯な対応がネガをポジに変える

桑江:ネガティブな投稿との接し方で意識されていることはありますか。

松山:エゴサーチをして拾ったネガティブな投稿を「問い合わせ」に誘導するケースも多いと思いますが、サブウェイではSNSで解決できることはその場で解決するように徹底しています。
マイナスな投稿を見つけると、まずはお詫びなどの返信をして、しっかりコミュニケーションを取るということです。サブウェイがあまりにも丁寧な対応をするので、「サブウェイの『中の人』は神」と引用リツイートで紹介され、それがバズったこともあります。
それがキュレーションサイトでも紹介され、かなり好印象を持っていただけました。
どんなご指摘にも真摯に対応することがネガをポジに変え、ブランディングにもつながると思いますので、そこを常に意識しています。

桑江:ありがとうございます。企業の公式アカウント運用を担当されている方々に、お伝えしたいことはありますか。

松山:サブウェイはインターン生でコミュニケーションを徹底するという独特の運用をしているので、盗めるものがあれば盗んでいただければと思います。「こういうやり方があるのか」と思っていただけたらうれしいですね。

佐野:今年はさらに、アクティブサポートを強化していくつもりです。インターン生の雇用も増やした上で、きちんと回るような組織体制、レギュレーションを組んでいきたいと考えているので、機会がありましたら共有させていただければと期待しています。