2021年の1年間において、“デジタル・コミュニケーション”(=危機管理対応も含む)において優れた対応を行い、ブランド力向上やブランドの毀損防止に成功した企業担当者を讃え、また今後の対応の参考にしてもらうべく、当研究所並びに選定した審査員からの投票にて“ジャパン・デジタル・コミュニケーション・アワード(JDCアワード)”受賞企業を選定します。
JDCアワードについて
ノミネート企業と表彰
2021年において行われた企業の「デジタルコミュニケーション」において、優れた対応を行った企業について一般公募及び有識者から候補を募り、その中から優秀賞としてノミネート企業を認定。
更にそれらの中から審査員からの投票を経て、いくつかの分野にて表彰を行います。
受賞企業、受賞担当者にはクリスタルを授与するほか、弊研究所のホームページ及びプレスリリース、イベントにて告知を行います。
選考フロー
- 一般ユーザー
アンケート -
エントリー受付
一般ユーザー5,000人へのWebアンケートを実施。
2021年に「SNS運用が優れている」「”神対応”を行った」
「クリエイティブや企画で好感を持った」の3項目にて企業を推薦。
- 弊研究所にて
一次選出 -
ノミネート企業(優秀賞受賞企業)を選出
アンケート結果をもとに、弊研究所にて選考会を実施し、
ノミネート企業(優秀賞受賞企業)を選出。
- 審査員による
審査・投票 -
審査員による審査・投票
弊研究所の研究員並びに審査員13名による審査を実施。
審査員1名あたり5社への投票を行う。
- 各賞を選出
-
大賞・各賞の選出
審査員の投票結果を踏まえ、弊研究所にて各賞を選出。
各賞5社を決定。
審査要素
以下の「T.U.N.E」の審査要素に基づき審査を実施します。
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1
Timely
時勢にあった
-
2
Unique
その企業らしい
独特さ -
3
Newsworthy
知られるべき価値がある
-
4
Engaging
ステークホルダーと結びついている
受賞結果の掲載
本アワードの結果について、受賞者からのコメントや審査員からのコメントを本サイトにて掲載すると共に、いくつかの媒体に記事掲載をする予定です。
また2022年1月20日に開催されるオンラインイベント「Digital Integrity Conference 2022」でも受賞結果を発表する予定です。
Webサイトはこちら
審査員
※敬称略・五十音順
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大杉 春子
コミュニケーション戦略アドバイザー
日本リスクコミュニケーション協会 代表理事
レイザー株式会社 代表取締役 -
鹿毛 康司
株式会社かげこうじ
事務所 代表取締役
元・エステー特命部長 -
高広 伯彦
社会情報大学院大学特任教授、マーケティングコンサルタント
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トイアンナ
ライター・起業家
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徳力 基彦
noteプロデューサー
ブロガー -
沼田 知之
西村あさひ法律事務所
弁護士 -
森 啓子
株式会社エフアイシーシー 代表取締役
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古田 大輔
株式会社メディアコラボ 代表取締役
BuzzFeedJapan創刊編集長
Google News Lab Teaching Fellow -
吉野 ヒロ子
帝京大学 准教授
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山口 真一
国際大学グローバル・ コミュニケーション・センター 准教授
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村上 憲郎
株式会社村上憲郎事務所 代表取締役、元Google日本法人 名誉会長
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ヨッピー
Webライター
「SPOT」編集長
受賞企業発表
ロイヤリティ醸成賞
受賞コメント
この度は弊社の取り組みがロイヤリティ醸成賞を受賞することができ、光栄に思います。ありがとうございます。
弊社は「ビールに味を!人生に幸せを!」をミッションとし、日本のビール市場にバラエティを提供することで、ビールファンにささやかな幸せをお届けすることを目指しています。
UGCはビールファンにささやかな幸せをお届けできていることを示すものですので、弊社では最重要指標の一つとして捉えています。「#本に合うビール」といった投稿型のキャンペーンでUGCが増えるよう取り組んだり、そもそも存在しているUGCに対しては一つひとつにコメントを返す1to1のコミュニケーションを重ねてきました。
今回はUGCを通販サイトへ掲載することでクラフトビールの面白さや楽しさをより深くお伝えすることに挑戦し、結果としてより多くのお客様に商品をお買い上げいただくことができました。今後もUGCの活用をはじめとして、より多くのお客様へクラフトビールのファンになっていただける活動を推進したいと思います。
クロスメディア賞
審査員コメント
- 高広 伯彦
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同社らしいアイロニーとウィットに富んだユーモアのある施策である。
それぞれの媒体が持つ価値というものがあるが、最近ではネットに押され気味である新聞の価値というものをうまくネタにし、そしてそれがネットで話題になるということまで計算にいれていると思われる。
- 山口 真一
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攻めの広告戦略を上手くできていると思います。
尖った広告ですが炎上リスクの低い内容で、よくバランスが取れています。
現代では消費者間で話題になることが極めて重要な中、優れた広告といえるでしょう。
- 徳力 基彦
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広告業界では特に大きな話題になった新聞広告だった。
ネットの話題化の構造が良く分かっているし、こうした攻めたアプローチの広告展開ができる企業は日本では数少ない印象。
- 古田 大輔
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新聞広告を見るのは高齢層だが、これはいかにもネットでバズりそうな仕掛けを入れることで、逆転の発想で幅広い世代へのリーチを可能にしている。
特設サイトが往年のホームページを意識しているというのも、ネットで人気の文脈への理解が高い。
「煽りながらも微笑ましい」というコメントにあるように、ちょうど良い感がある。
- 吉野 ヒロ子
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2021年で一番面白いと思った広告で、Twitter経由で知りました。
広告論の講義でも紹介させていただきましたが、学生の反応もとても良かったです。
ネット広告への批判が今の消費者の実感に沿っていて、広く共感を呼んだこと、ただ批判で終わるのではなく、もう一回落としてくるのが良かったと思います。
- 沼田 知之
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双方向性を欠くという広告主から見た新聞広告の弱みを逆手に取って「新聞広告は、あこぎなことしないから安心だよ!」とアピールしつつ、結局ネットに誘導することで「ツッコミ待ち」という読者の心の中での双方向性を生み出すことに成功している。
個人情報への関心の高まり、Cookieの廃止というタイミングも捉えている。
受賞コメント
特別賞を受賞したと聞いて大変驚いております。
今後とも皆様に楽しんでいただける広告をお届けできるよう、努力してまいります。
KINCHOの広告にご注目いただけたらうれしいです。
この度は栄えある賞をいただき、本当にありがとうございます。
エンターテイメント賞
審査員コメント
- 大杉 春子
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クスッと笑えるこの自虐投稿は、コミュニケーションにおけるディスクロージャー(情報開示)戦略の好事例といえます。
情報開示の世界潮流は、透明性、正確性、誠実さであり、一見不都合なこともあえて積極的に開示することにより、中長期的にステークホルダーと良好な関係を結ぶことができます。
- トイアンナ
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「お店に入ると、ワクワクする」ことで知られるドン・キホーテさんが「SNSを見るとワクワクする」段階に到達。自社ブランドの認知度を一気に上げた事例と判断しました。
特に自社を軽くでも「落とす」投稿は、社内ストップがかかりやすいものですが、そこで投稿する判断を下した判断力は、他社の模範となるべき事例でしょう。
- 森 啓子
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「驚安の殿堂 ドン・キホーテ」はそんなに安くない...という声がTwitterでつぶやかれていた中で、「#いいにくいことをいう日」のモーメントに乗っかり、自ら「ぶっちゃけ安くないのもある」とつぶやくことで、「知ってた」「正直でよろしい」という関係性に持っていくだけでなく、「掘り出し物に出会うのが楽しい」など、別のベネフィットを求めて利用している消費者の中にあるブランドの意味を自発的につぶやかせることに成功していることが、興味深いと思いました。
受賞コメント
この度は、第2回ジャパン・デジタル・コミュニケーションアワード、特別賞「エンターテイメント賞」をいただき誠にありがとうございます。
ドン・キホーテでは、「コンビニエンス(便利さ)」・「ディスカウント(安さ)」・「アミューズメント(楽しさ)」の3つのコンセプトを大切にしており、ただ単に「必要な物を、必要な時に買う」だけでなく、買い物自体を楽しんでいただく「時間消費型店舗」をご提供できるよう日々努めております。
今回「エンターテイメント賞」をいただけたことは、「楽しんでいただく」を目指している当社として、とてもうれしく思います。
今後もソーシャルメディアを通してドン・キホーテの「ワクワク・ドキドキ」感を少しでも感じてもらえるよう、様々な取り組みにチャレンジして参ります。
ドン・キホーテを推薦してくださった皆様、審査員の皆様、そしていつもそばにいてくれるドンキ公式フォロワーの皆様!ありがとうございました。
SDGs賞
審査員コメント
- 鹿毛 康司
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CMの面白さだけに注目されそうだが、シール廃止は組織挙げての企業戦略がなければ成立しない。
たくさんの関係者が関わった地道な活動があってこその企画に拍手。
- 徳力 基彦
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日清さんのSNS活用はすでに別格の域に達している印象もありますが、
特にフタ止めシールの廃止の発表の仕方は、単にSDGsおしではないネットでの話題化を意識した日清さんらしい素晴らしい発表だったと思います。
- ヨッピー
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星野源さんの結婚がニュースになった時、たくさんの人が「どん兵衛のCMどうすんの!?」と思ったはずですが、結婚ネタを取り入れてCMのストーリーに反映させた手法は鮮やかだなと思いました。
ああいう動きの早さ、上手さは日清ならでは。
僕にもCMの仕事ください。
受賞コメント
この度はジャパンデジタルコミュニケーションアワードにノミネートいただき誠にありがとうございます。
日清食品グループは世界初の即席麺「チキンラーメン」、世界初のカップ麺「カップヌードル」を生み出し、世界の食文化を革新した企業として、さまざまな「食」の可能性を追求し、「食」の楽しみや喜びを追求したいと考えております。
コミュニケーションで大切にしているのは「Creative」で「Unique」な、人を「Happy」にするという思考です。
日清食品グループのデジタルコミュニケーションを通じて、これからも皆様に楽しんでいただける企業であり続けたいと思います。
ありがとうございました。
JDC審査員賞
審査員コメント
- 鹿毛 康司
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不要不急だと言われるエンターテイメント業界の中で最も年齢の高いチームであるだろう寄席。
保守的であろう組織がクラウドファンディングという手法に着手したことがすごい。
- 高広 伯彦
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ファンに下支えされた策が功をなした。
クラウドファンディングには色々なものが存在するが、本件で注目したいのは2つの協会が手を組んで本策を行ったことにある。
落語ファンにとってはどちらの協会かは関係なく、寄席や落語という文化維持に貢献をしたかったのだろう。
- 大杉 春子
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寄席は江戸時代から続く継承される必要のある日本の伝統文化。
危機の事態下、普段はそろって活動をすることがない落語界2団体が協力し、クラウドファンディングを活用した点を評価したいと思いました。
- 徳力 基彦
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一見デジタルと縁遠く見える落語家の方々が、それぞれに様々な取り組みを行うことで1億円もの支援を達成したのは非常に感慨深く拝見していました。
- ヨッピー
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コロナ禍で大変な思いをしている団体・業界はたくさんあったと思いますが、こうやってストレートに困ってることを発信し、それを助けてくれるファンの人たちの応援があって、という流れは結びつきを強くし、コロナ後の世界にも活きて来るのではないでしょうか。
- 古田 大輔
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寄席の苦境に際して、単純にクラウドファンディングで支援を募っただけだったら1億円は達成できなかったはず。
2つの落語協会が協力し、落語家が一丸となってソーシャルメディアで発信し、寄席の生配信をするなど、これまでになかった取り組みを広げたところに今回のクラファンに止まらない意義がある。
- 森 啓子
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コロナ禍で、寄席が自身でクラウドファンディングを立ち上げるのではなく、落語協会と落語芸術協会が、寄席への「恩返し」として立ち上げ、そのストーリーが人の心を動かし、寄席に通っていた人たちが、自身のエピソードと共に寄席への「恩返し」としての支援を行う...
そして、支援に対するリターンも、モノよりも支援への「お礼の気持ちを返す」...という、すべてが想いで繋がるバリューチェーンが素晴らしいと思いました。クラウドファンディングという場が、まさに人を寄せる場所「寄席」へ。
- 吉野 ヒロ子
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新型コロナウイルス感染症問題で打撃を受けた組織が、クラウドファンディングに取り組んだ事例は他にもありますが、もともと知名度が高いとはいえ、目標額の倍額を達成できたということは素晴らしいことだと思います。
落語という伝統芸能の継承のためにも、今後もネットの利活用を進めていっていただければと思います。
- 沼田 知之
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伝統文化の存続のピンチを、クラウドファンディングで救おうという取組み。
一見するとミスマッチな組合せのようだが、「お旦」のクラウド化とすれば伝統との継続性も見出せる。
寄席定席への支援金引渡しの様子や会計報告をするなど、支援後の透明性を確保されている点にも好印象。
受賞コメント
「寄席支援プロジェクト」は新型コロナ感染症の拡大防止に伴う休業・入場制限により大きな危機に直面した寄席に支援を求めるため、両協会で取り組んだクラウドファンディングです。
演者にとっても修行の場として欠かすことのできない「寄席」を支援するため、それぞれがSNSなどを駆使し情報発信に取り組みました。広く支援を募るという初めての取り組みにもかかわらず、予想を大きく超えるご支援をいただけたことは大変ありがたく思っております。
また、支援総額もさることながら、非常に多くの方にご支援をいただけたことは、コロナ禍において疲弊する寄席のみならず演者一同もとても勇気づけられました。
こうした御恩を返すべく、今後も私たちのささやかな「笑い」で社会を明るくできるようつとめて参ります。改めてこの場を借りて、当プロジェクト支援者の皆様に深く御礼申し上げます。
ノミネート企業
(優秀賞受賞企業)
企業・団体名やロゴをクリック(タップ)して頂くと、受賞にあたってのコメントをご覧いただけます。
(一部未掲載の企業もございます)
JDCアワード総評
桑江 令シエンプレ株式会社 主任コンサルタント
シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所 主席研究員
今回二度目となるこのJDCアワード。
初回は新型コロナウイルス流行による激動の中で、不安を抱えた消費者に寄り添い、「自分たちに出来ることは何か」を考えてポジティブなコミュニケーションを図った企業を選出させていただきました。
そして今回、炎上件数が更に増えた一年の中で、様々な企業がリスクに向き合いながらも工夫を凝らしてコミュニケーションを図ったことでしょう。
今回の受賞企業の取り組みでは、これまでのファンとより深い結びつきを求めたり、ピリピリとした空気を少しでも明るくしようとユーモアを交えたり、嫌われがちな広告という存在を逆手に取ったり、自分たちの活動拠点を守るべくこれまでの業界慣習を破ったり。
このような取り組みは、分断がより深まりつつあるSNSにおいても好意的に受け入れられ、結果として多くのファンが支援してくれることとなりました。
多様性を重視するようになり様々な価値観が存在する現代において、「適切」と「不適切」の線引きは非常に難しくなりリスクは無視できませんが、そんな中でも真摯な姿勢を持ってのコミュニケーションであれば、消費者はその姿勢に共感し反応してくれるはずです。
今回の受賞企業の取り組みから、改めてそのことを感じていただければ幸いです。
佐々木 寿郎シエンプレ株式会社 代表取締役社長
シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所 所長
2021年の年間炎上件数は、前年比24.8%増と大きく増加しました。
この要因の一つに、1年前であれば問題視されなかったようなものも、大きな反感を買うようになったことが挙げられ、一般ユーザーの目は厳しさを増しています。
そんな中、企業の公式SNSを任せられた担当者の皆様は、炎上の恐怖と戦いながら業務に励んでいらっしゃることと思います。
「これ面白んじゃないか」「これウケるんじゃないか」というマーケティング目線と同時に「これを投稿したらユーザーはどう思うか」「不快を感じる人はいないだろうか」といったユーザーの心理、心境を常に常に考えねばなりません。
今回各賞を受賞した担当者、ノミネート企業の担当者の皆様は炎上の恐怖と戦いながらも、あらゆるユーザーの立場に立ち、人の心を動かすコミュニケーションを行われました。
企画過程の激しい議論、最終判断直前の迷い、そして決断の勇気など皆様の仕事ぶりを思い浮かべるに、最大の賛辞を贈る以外ないと思っております。
日本全国の公式SNS運用担当者の皆様には、今回の受賞企業、ノミネート企業のコミュニケーション方法を研究して頂き、「ウケを狙う」といった企業目線ではなく、ユーザーの立場に立ったアカウントに育てて頂ければと思います。
審査員コメント
SNS時代で最も影響力があるが企業のマネジメントが難しいユーザーの声。
それを見事に一緒にコンテンツ化していったことに拍手。
やれそうでやれないことを、あっさりとやってのけた。
昔からUGCの活用がうまい企業で、消費者とのコミュニケーションを大切にしています。
また、しっかりとデータ分析をし、エビデンスベースで適切な戦略をとっているのも印象的です。
バイラル・マーケティングが主流となる中、上手く時流に乗っていると思います。
単純に投稿キャンペーンを実施するだけでなく、ユーザーの投稿を広告に活用することで実際に成果につなげているのがさすが。
「関係人口をいかに増やすか」みたいな事がよく議論されていますが、自社製品を投稿してくれるユーザーも立派な「関係人口」なわけでして、こういった投稿を促すことでユーザーもより深く商品に愛着を持ってくれるはず。
UGCを活用してユーザーとのエンゲージメントを高めたい、という発想はソーシャルメディア担当者であれば誰でも持っている。
ABテストで効果の高いコンテンツを検証して実施し、CVR16%アップという定量的な効果測定までやりきっているところが素晴らしい。
UGCコンテンツを公式アカウントなどで紹介する活動は他にもあると思いますが、「お題」を設定して、消費者のライフスタイルがわかるような投稿を引き出したという工夫が興味深いと思いました。
お題も少しひねった、いかにも挑戦してみたくなるもので、ブランドの世界観とも合っているように見えました。