インタビューInterview

DIGITAL CRISIS RESEARCH INSTITUTE

第2回JDCアワード

【第2回JDCアワード】【優秀賞受賞インタビュー】日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社様

KFCの広告召喚、「ケンタッキー」ツイート祭り参戦に喝采!

シエンプレ株式会社(以下、シエンプレ):2021年11月、Twitter内において「『ケンタッキー』とつぶやくことで、タイムラインに表示される広告をケンタッキーフライドチキン(KFC)にしよう」というアイデアが拡散され、トレンドワードにもなりました。御社の公式アカウントも「ケンタッキー」と発信されてTwitterをにぎわせましたが、どのようなお考えの下でこの発信を判断されたのでしょうか。

日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社 平野様(以下、平野様):所属するCRM推進課のメンバーから「ケンタッキー」がバズっていると連絡を受けました。アクションを起こす前にツイートされているユーザーの皆さまの雰囲気や投稿内容、エンゲージメント率の高さを確認し、どのようにアクションするべきかを検討しました。その上で、単に「ケンタッキー」とつぶやくだけで十分に私たちからの意図は理解され、発話も生まれるのではと考え、フォロワーの皆さんと同じようにツイートを試みました。

平野 まりな様
2019年5月入社 マーケティング部CRM推進課 係長
・ソーシャルメディア等のオウンドメディアの企画・運用
・公式モバイルアプリの運用
・コラボレーション企画を含むブランディング活動

シエンプレ:エンゲージメントが高いフォロワーの皆さんも大勢つぶやいていると確認できたことから、話題に乗っても拾われると予測されたということですね。

日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社 井上様(以下、井上様):以前、トレンドとなっていたKFCワードに即応できず、公式アカウントから反応するまで3~4日間ほどのタイムラグが生じ、話題に乗れなかった経験がありました。
その反省を踏まえ、「次に同様のことがあれば、なるべく速やかに反応しよう」という意識を持ち続けていたのが今回につながったと思います。

井上 慶人様
2021年2月入社 マーケティング部CRM推進課 課長補佐
・ソーシャルメディア等のオウンドメディアの企画・運用
・公式モバイルアプリの運用
・デジタルプロモーションの企画・運用
・顧客データベース活用のCRM施策の企画・運用

Twitterフォロワー数200万人超も身近なコミュニケーションを意識

シエンプレ:御社のTwitter公式アカウントはエンゲージの高さが際立っていますが、SNS発信の取り組みで工夫されている点はありますか。

平野様:新型コロナウイルス感染症の影響もあると考えられますが、Twitterの利用者数、利用時間が増える中、弊社の公式アカウントのフォロワー数も大きく伸びています。
2020年1月に100万人に到達したフォロワー数は現在、200万人を超えるほど成長しましたが、発信する内容は大きく変えていません。軸としてあるのは「ハレの日」以外にもKFCを思い出してもらうこと。そのきっかけをつくるために公式アカウントを運用しています。
誕生日や記念日に限らず、思い立ったときに気軽に普段使いしてくださるお客さまを増やしたいですね。
そのため、商品のラインナップやお得な情報を伝えるだけでなく、Twitterならではのユニークな投稿も交えるようにしています。

シエンプレ:Twitter、Facebook、Instagram、あるいはYouTubeなど、それぞれのプラットフォームの特性をどのように使い分けてらっしゃいますか。

井上様:Twitterはウィットに富んだ投稿内容、例えば、創業者カーネル・サンダースのキャラクターなどをうまく使った話を構築し、発話を生み出していくことを意識しています。
Instagramで重視しているのはKFCの世界観やグローバルなブランドイメージを崩さずに、インパクトのあるビジュアルでアピールすることです。
また、SNSの活用歴の長いお客さまが多いFacebookでは、よりしっかりとした商品・キャンペーン情報をお届けするようにしています。
YouTubeでは、CMが更新されたタイミングで情報を出していますし、LINEではKFCにあまり馴染のない方々も含めたライトなコミュニケーションを心がけているのが特徴です。
このように、同じ商品を紹介する場合も、それぞれのプラットフォームに合わせて切り口を変えるように意識しています。

シエンプレ:投稿回数も含めて最も気を遣うのは、やはりTwitterなのでしょうか。

井上様:アクティブユーザーの観点からも、Twitterの重要性が高いのは間違いありません。
デジタル広告のインプレッション数を見ても、弊社が最もコミュニケーションを取っているデジタル上のツールはTwitterなので、重点的に取り組むべきだと思っています。

リツイートなどから伝わる「温度感」も把握

シエンプレ:近年は、企業の公式アカウントが炎上に巻き込まれるリスクも高まっています。SNSの運用に関して意識されていることや、実際に取り入れていらっしゃる対策はありますか。

平野様:個人・会社の携帯電話などではなく、きちんとした投稿ツールを使うのを基本とし、投稿する内容はCRM推進課のメンバーそれぞれが目を通し、確実にチェックできる仕組みにしています。
メンバーは世代などが異なるため、さまざまな視点から細かいことに気付けますし、他社の成功事例と炎上事例についても常に情報共有し、互いに見識を高めています。
日頃の投稿に対する反応も、単にエンゲージメント数だけを見ているわけではありません。お客さまのコメントや引用リツイートもきちんとチェックして、どんな「温度感」でご意見が発信されているのかを常に把握することを心掛けています。

シエンプレ:すべてのプラットフォームの投稿内容を、事前にチェックされているのですか。

平野様:TwitterもFacebookもInstagramも、よほど急ぐ事情がない限りはすべて事前にチェックし、チームメンバーで役割分担をして対応し、全員の承認がなければ投稿しません。

1to1に迫るタイムリーな情報発信を強化へ

シエンプレ:自社に関する発話の内容をキャッチするため、どのようにエゴサーチをされていますか。

平野様:コロナ禍以前の毎日オフィスへ出社していた頃は、大画面のテレビにいくつかのワードを掛け合わせたタイムラインが10種類くらい流れるように設定し、新商品やブランドなどに関してどんな発話が生まれているのかを確認できるようにしていました。
現在はリモートワークも多いのですが、ツールを使って発話を確認しているほか、個人アカウントからもKFCに対するお客さまの反応を客観的にウォッチするようにしています。

シエンプレ:なるほど。今後、力を入れていこうとお考えになっている広告宣伝、コミュニケーションの手法があれば、お聞かせください。

井上様:これまで通り、プラットフォームの特性に合わせたコミュニケーションをしっかり取っていければと思っていますし、どのプラットフォームでも「KFCが好き」と言っていただける、あるいは常にKFCを思い出していただけるようなコミュニケーションを心がけたいと考えています。
もちろん、楽しいコミュニケーションを追求するだけではなく、商品の魅力もさらに伝えられるようにしたいですね。これからもいろいろな切り口で面白い企画を展開していきたいと考えているので、ぜひ楽しみにしていただければと思います。
また、SNSに限らない情報発信にも力を入れるため、デジタルマーケティングやデジタルトランスフォーメーション(DX)化を推進する考えです。そうした環境にデジタルのコミュニケーション媒体をすべて適応させ、KFCの魅力をスマートに発信していきたいですね。
それぞれのプラットフォームや媒体に寄り添い、必要な情報を1to1に迫る形でタイムリーに出していくことがこれからのコミュニケーションの肝となるので、それを強化するための準備を進めていきたいと思います。