インタビューInterview

DIGITAL CRISIS RESEARCH INSTITUTE

第2回JDCアワード

【第2回JDCアワード】【優秀賞受賞インタビュー】株式会社サイエンス様

Twitterならではの「拡散力」に着目

シエンプレ株式会社(以下、シエンプレ):Twitterの公式アカウントでの発信に力を入れるようになった背景をお聞かせください。

株式会社サイエンス 前倉様(以下、前倉様):弊社の広報戦略は、もともとテレビCMがメインでした。しかし、2018年に発売したシャワーヘッド「ミラブル」の認知度が急速に高まった中、「テレビを視聴しない層にも知っていただくため、そろそろWebマーケティングを本格化させるべきではないか」という議論が社内で持ち上がりました。
弊社はもともとFacebookとTwitter、Instagramの公式アカウントがあり、Instagramはインフルエンサーにも何度か登場してもらったこともあります。ただ、商品のラインナップが少ない上、シャワーヘッドで写真映えを狙うのも難しいのが課題でした。

シエンプレ:確かに、入浴中のシーンは、なかなか撮影しづらいでしょうからね。

前倉様:そうですね。例えば、食事や洋服など写真で表現しやすいものはInstagramに適していると思いますが、シャワーヘッドの良さを多様な写真で頻繁に表現するのは困難です。そのため、公式アカウントはあっても思うように運用できていませんでした。
また、Facebookはクローズドなコミュニティーなので、あらかじめ「友達」になっている弊社の代理店様に閲覧していただいているケースがほとんどですし、不特定多数への拡散力にも乏しいと感じました。
こうしたことから、Webマーケティングに力を入れていく上で有効なのは「最も拡散力があるTwitterだろう」ということになりました。

シエンプレ:なるほど。

「私がやります!」 一念発起し「中の人」に

前倉様:Twitterの公式アカウントは2019年5月に私が開設したのですが、私自身は個人のアカウントを持っておらず、手探りのまま朝のあいさつなどを投稿していました。
効果についても半信半疑で、ツイートをしたりしなかったりという中途半端な運用が続いていたため、Webマーケティングを本格化するとなったときは「プロに運用を頼んだら?」と促されました。
ところが、それまで十分な運用をしていなかったにも拘わらず、頭に浮かんだのは「他人に自社のアピールができるのか?」という疑問だったのです。
運用を代行する専門業者の説明があまりに事務的だったことにも驚いてしまい、「やはり自社の人間がやるべきだ」との思いを強くしました。
直属の上司に「私に本気で運用させてほしい!」と嘆願し、さまざまな企業様の公式アカウントをつぶさに観察したところ、どの担当者様も他に抱えている仕事があるはずなのに、こまめな情報発信に努めてらっしゃいます。その様子を目の当たりにして、「自分も頑張らなければ」と大いに触発されました。
そんな決意を堂々と表したのは、それから1週間ほど後のこと。全社会議の場で「私がやります!みんなも見て、フォローしてください!」と宣言し、現在に至ります。

シエンプレ:まさに、自らを追い込んだわけですね。公式アカウントの運用に関して、特に意識されていることはありますか。

前倉様:外部委託をせずに運用するとなったとき、「自分がやらなければ」という思いに至った経緯をツイートしたところ、見たこともないほどの多さの「いいね」とコメントが寄せられました。そこで、自分の素直な気持ちをツイートするのが一番いいという方向性をつかむことができました。
また、短期間でフォロワー数などを増やすためには商品力の高さを知ってもらうことが大切だと考え、「ミラブル」のプレゼントキャンペーンも頻繁に展開してきました。
「ミラブル」は、実際に体感していただいてこそ良さを分かっていただける商品です。ユーザーの方々が良さを発信してくださることを期待する中で、商品を使っていただける機会を増やそうと考えました。
「ミラブル」はなかなかの高額商品なので、キャンペーンで当たるとなると反響が大きく、それがフォロワー数などの大きな伸びにつながったと思います。

「常に相談しながら仕事を進める」 企業風土が生む円滑なSNS運用

シエンプレ:「素直な気持ちが一番」というお話もありましたが、ツイートの内容が意図しない捉えられ方をしたり、思わぬ形で拡散したりするリスクも想定されるかと思います。企業アカウントの炎上事例も散見される中、どのような工夫をされていますか。

前倉様:当たり前のことですが、他社を批判せず、政治・宗教の話題は避けています。自分が趣味で応援しているスポーツチームについても、アンチの方々の心情に配慮して触れません。
また、自社に対するネガティブな意見が寄せられても、誠心誠意ご返信するようにしています。

シエンプレ:運用の「慣れ」が原因となるリスクを防ぐ上で、投稿内容に関するマニュアルや社内のチェックシステムは備わっているのでしょうか。

前倉様:ツイートを投稿する前、誰かにチェックしてもらうことはありませんが、アップした後は上司が必ず目を通しています。
「ネタがない」と困ったときや、ネガティブなコメントへの返答内容については上司に相談していますが、それは「Twitterだから、そうしなければならない」というわけではありません。
弊社には、何事も常に相談しながら仕事を進めるという習慣が定着しています。そのような企業風土に基づき、情報共有を密にしているということですね。
また、よく問題となる公式アカウントの誤爆ですが、私自身がプライベートではSNSを使っておらず、SNSをやるのは仕事でのみですので、自然とSNSを開くと仕事モードになりリスクを防止できている形です。

シエンプレ:SNSで発信される内容は、各プラットフォームの特性に応じてどう使い分けていますか。

前倉様:SNSのプラットフォームは、それぞれに特徴があると思います。
Facebookも私が運用していますが、Twitterに比べると堅い文面です。同じ内容でも、どちらかのプラットフォームで発信した内容をもう一方に上げる場合は、元の文面をそのまま転載せずにリライトしています。

「ミラブル」の特色を分かりやすく YouTube動画の活用に本腰

シエンプレ:今後、力を入れていこうとお考えになっている広告宣伝、コミュニケーションの手法をお聞かせください。

前倉様:最終的な目標はYouTubeの本格的な活用です。「ミラブル」は今までになかった画期的な商品なので、どのような原理で、どんな効果があるのかをきちんと理解していただくためには、動画を使って分かりやすく伝えていくのが効果的だと考えています。
もちろん、まだまだ影響力が大きいマスメディアへのCM投下は続けていきますが、2022年4月から新たに本格的なYouTube動画を配信するための準備を進めているところです。
TwitterはYouTube活用の先駆けとして、自社のファンをつくる目的で始めましたが、ホームページなどと違い、Twitterでしか垣間見ることのできない企業風土に触れていただきたいと願っています。今就職活動中の学生にも目が留まり、こんな会社で働きたいと思っていただけると、更に嬉しいですね。
弊社はミラブルの認知が先走ったため社名の認知が後回しにとなっています。「サイエンスさん」と呼ばれるよりも、「ミラブルさん」と呼ばれることの方が多いのです。Twitterを通してそこは是正していきたく、サイエンスという企業ブランドも高められるようなツイートを心がけて参ります。