第1回ジャパン・デジタル・コミュニケーション・アワード第1回ジャパン・デジタル・コミュニケーション・アワード

2020年の1年間において、“デジタル・コミュニケーション”(=危機管理対応も含む)において優れた対応を行い、ブランド力向上やブランドの毀損防止に成功した企業担当者を讃え、また今後の対応の参考にしてもらうべく、当研究所並びに選定した審査員からの投票にて“ジャパン・デジタル・コミュニケーション・アワード(JDCアワード)”受賞企業を選定します。

JDCアワードについて

ノミネート企業と表彰

2020年において行われた企業の「デジタルコミュニケーション」において、優れた対応を行った企業について一般公募及び有識者から候補を募り、その中から30社をノミネート企業に認定。
更にそれらの中から審査員からの投票を経て、いくつかの分野にて表彰を行います。
受賞企業、受賞担当者にはクリスタルを授与するほか、弊研究所のホームページ及びプレスリリース、イベントにて告知を行います。

受賞結果の掲載

本アワードの結果について、受賞者からのコメントや審査員からのコメントを本サイトにて掲載すると共に、いくつかの媒体に記事掲載をする予定です。
また2021年2月4日に開催されるオンラインイベント「デジタルクライシスフォーラム」でも受賞結果を発表する予定です。

デジタルクライシスフォーラムの
Webサイトはこちら

審査員

※敬称略・五十音順

  • 鹿毛 康司

    株式会社かげこうじ
    事務所 代表取締役
    元・エステー特命部長

  • 倉田 真由美

    漫画家
    元NHK経営委員会委員

  • 桑江 令

    シエンプレ株式会社 主任コンサルタント
    シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所 主席研究員

  • 津田 大介

    ジャーナリスト
    メディア・アクティビスト

  • 徳力 基彦

    noteプロデューサー
    ブロガー

  • 中川 淳一郎

    Webライター
    ネットニュース編集者

  • 沼田 知之

    西村あさひ法律事務所
    弁護士

  • 芳賀 雅彦

    元・博報堂PR局
    シニアコンサルタント

  • 古田 大輔

    株式会社メディアコラボ 代表取締役
    BuzzFeedJapan創刊編集長
    Google News Lab Teaching Fellow

  • 山口 真一

    国際大学グローバル・ コミュニケーション・センター 准教授

  • 村上 憲郎

    元Google日本法人 名誉会長

  • ヨッピー

    Webライター
    「SPOT」編集長

受賞企業発表

大賞

丸富製紙株式会社
20年3月のトイレットペーパー買い占めデマの最中に「トイレットペーパーの在庫あります!」という写真付きツイートを行い、広く拡散され、ユーザーに安心感を与えた。
20年のエンゲージメントボリュームランキングでは2位を記録。流通側での売り場の大量陳列と合わせて、日本中を巻き込んだデマを収束させたことは、フェイクニュースに揺れた20年を象徴するポジティブなコミュニケーションだった。

審査員コメント

村上 憲郎

今となっては、誰の目にも明らかになった、不必要なトイレットペーパー買い占め騒ぎ。
しかし、社会のパニックは、一時的に店頭からトイレットペーパーが消えるという事態となって現れ、正常な神経の人達も、家族のことを思えば、この際、少し手当しておくかと考え始めたその時に、十分な在庫がありますということを在庫写真という説得力のある表現方法で訴えることにより、パニック状況の沈静化に果たした貢献を高く評価したい。

山口 真一

トイレットペーパー買い占めについては、メディアが「デマで品薄に」という報道で空の棚を報道したことで、不安に駆られた消費者が逆に買い占めに行ってしまうという現象が起きました。
その真逆を行く「安心させる」コミュニケーションを迅速に行った点を評価しました。

中川 淳一郎

ネットのバカげたデマをぶっ壊すのは日本全体にとっても良いところ。
そこを率先したやったのは張本勲氏ではないが「あっぱれ!」だ。

沼田 知之

危機対応時のメッセージは、ファクトに裏付けられたものであることが重要。
かつて金融恐慌の際、取付けに押し寄せた預金者に見えるよう窓口に紙幣を山積みにしたことを彷彿とさせる対応だった。
大手メディアの多くが、空になったトイレットペーパーの棚といった「画になる」イメージを届け、不安を増幅させる中、在庫が潤沢にあるのでご安心くださいというメッセージを雄弁に伝えた。

受賞コメント

この度は素晴らしい賞をいただき、大変うれしく思います。ありがとうございます。
思わず投稿した内容がこれほど多くのお客様の目に触れたことに、正直驚いており、改めてデジタルの力というものを実感させられました。
また、今回の一連の騒動をきっかけに、生活に欠かせないものを安定して生産し供給し続ける、という社会的な使命感や責任も改めて感じております。
これからもメーカーとしての基本的な姿勢を忘れずに、今回のソーシャルメディアのようなデジタルツールを生かした新しいコミュニケーションの在り方を今後も模索していきたいと思います。

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ボーダーレス賞

チロルチョコ株式会社
外出自粛となった20年4月にTwitterで「#おかしつなぎ」キャンペーンを実施。企業の枠を超えてお菓子メーカー80アカウント以上が参加し、多くのツイートで賑わった。

審査員コメント

山口 真一

コロナ禍で閉塞感が漂う中、時節を捉えたキャンペーンで高い人気を得ました。
外出自粛でSNS利用時間が長くなったことも上手く活かしたと思います。

沼田 知之

新学期を迎えた子どもたちが外出自粛を強いられる状況下、「#お菓子で日本を明るく」というメッセージの意味は大きい。
他メーカーも「おかしつなぎ」に共感したことで、オールスター戦のようなワクワクした雰囲気に。
「ほんの少しの楽しみを」との呼びかけも、無理やりに前を向かせるでもなく、下を向くのでなく、バランス良く感じる。

桑江 令

SNSの良さは気軽に企業同士がコラボできること。
そうした意味ではお菓子業界でメーカーの枠を超えて協力し、多くのユーザーにワクワクを与えてくれた「おかしつなぎ」は、家の中での楽しみを作り出してくれたと思います。
企画を発案したチロルチョコさんも、それに賛同して盛り上げてくれた他のお菓子メーカーさんも、素晴らしいと思います。

芳賀 雅彦

一社だけ儲かるから、みんなで楽しく儲けるへ。
まさに、SNS時代らしいキャンペーンだと思います。
自社だけではなく、競合他社も受け入れられやすい仕組みをつくれていることを高く評価したいです。
そして、その先にいる生活者の目線がしっかりあるのも注目されます。
キッコーマン株式会社の6社連合の“#おうちで食べよう”も注目しましたが、チロルチョコ株式会社のキャンペーンには、他のお菓子メーカーが、意志に共感し、後追いでも、一緒に盛り上げ、広がっていることが、SNS時代の新しいキャンペーンだと思います。

受賞コメント

この度は、ボーダーレス賞を頂きましたこと、光栄に思います。
新型コロナウイルスにより世の中全体の雰囲気が後ろ向きになる中、菓子メーカーとして少しでも明るい話題を提供したい・少しでも笑顔を届けたいと思い企画しました。最終的に80社以上の企業様にご参加いただけましたが、始める前はこんなに広がるとは夢にも思っていませんでした。沢山の企業様に弊社の想いをご賛同いただけたこと、また沢山のお客様からポジティブなコメントをいただけたことが本当に嬉しかったです。
このような賞を頂けたことに心から感謝するとともに、今後も、弊社ミッションである【「あなた」を笑顔にする】を体現出来る企業であり続けられるように、仕事に邁進していきたいと思います。

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エンゲージメント賞

シャープ株式会社
一般公募アンケートで1位。企業アカウントの中での圧倒的なエンゲージメントを生かし、コロナ禍においての「マスク生産」という企業の取り組みをしっかりとユーザーに伝え、安心感を与えてくれた。

審査員コメント

徳力 基彦

コロナ禍において、マスクをタイムリーに生産できたという会社の姿勢やスピード感が素晴らしいのはもちろんですが、それをあのリスクのある空気感の中で、できる限り嫌らしくない形で伝えられるのは素晴らしいと思います。

倉田 真由美

マスク不足でピリピリしている折、「あのシャープがマスクを?」という驚きとともに生産の素早さに感嘆。
買い占め業者らが高値で売りつけようとしている中、一足早い安心感を与えてくれたと思う。

村上 憲郎

本業でないにも関わらず、不足していたマスクの製造に敢えて進出し、それを目指したわけではなかっただろうと思いますが、結果的に企業イメージの大幅な向上を成し遂げたというところが、今後、企業が目指すべき、ESGといった指標、中でもS、つまり、Socialとという視点で、評価できる。

山口 真一

いわゆる「愛されアカウント」運用で幅広いファンを持つアカウントで、メディア展開もしています。
コロナ禍においても、マスク生産だけでなく、学生向けに(他社の)パソコンを宣伝するなど、時節に合った適切なコミュニケーションをしていました。

受賞コメント

職業柄、デジタルクライシスなんて言葉を目にすれば肝が冷えますが、エンゲージメント賞なら話は別です。まさに私はお客さんとのエンゲージメントが欲しくて仕事をしているわけですから、こんなに光栄なことはありません。選んでくださったみなさま、そして@SHARP_JP のフォロワーさん、ありがとうございました。

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サポート&ケア賞

エムケイ株式会社
従業員の新型コロナ感染者発生による2週間の営業停止後に、医療従事者への感謝として無料送迎サービスを開始したことがSNSを中心に絶賛。合わせて公式Twitterアカウントで「#MK猫写真」というハッシュタグで猫の写真を投稿しており、20年4月の写真には約15万件の「いいね」を獲得。リアルでもデジタルでも「癒し、ケア」に貢献した。

審査員コメント

倉田 真由美

タクシー業界はコロナ禍で大変な打撃を被っているにも関わらず、支援が行き届いていない代表的な業界である。
そんな苦しい中、積極的に世の中のために動く姿勢は頭が下がる

鹿毛 康司

コロナが起きて、そこに新たなニーズが生まれました。
消毒やマスクといった衛生管理に対して、企業は大きく対応を迫られます。
そこに、これはチャンスで自分たちに利があるとした気持ちが入っているあざといものと、世の中の人のためにと思っているものとに大きく分かれました。
そしてMKタクシーはそれを超えたすがすがしい企業姿勢を打ち出したことが評価されます。

津田 大介

緊急事態宣言下で医療現場に多大な負担がかかっていることを、自社のインフラ面から支えるという点ですばらしい取り組みだった。
タクシー運転手も間違いなく「エッセンシャルワーカー」であり、エッセンシャルワーカー同士の支え合いという側面もあった。
業務としてやらせるのではなく、自発的に手を挙げた運転手に任せ、彼らへのインタビューをウェブに掲載しているところも企業広報という観点から評価できる。

山口 真一

公式Twitterアカウントでは頻繁に動物の写真をアップして人気を博しているだけでなく、「MKタクシー公式ツイッター閲覧数ランキング」を出すなど、攻めのSNS活用を上手くできていると思います。
「愛されアカウント」事例として参考になる企業も多いでしょう。

受賞コメント

最前線で奮闘される医療関係者や自治体関係者に対してタクシー会社として支援できることはないかと考え、MKグループが事業を展開する都市の自治体に無償運行の申し出を行い実現したものです。
実施にあたり、社内で送迎を志願するドライバーを募ったところ、若手や中堅を中心に100名を超える社員が手を挙げてくれました。
各ドライバーはこのような状況下で役に立てたことをうれしく思い、お客様から労いの言葉もいただけたことに喜びを感じておりました。
当事業を支えてくれた社員に感謝するとともに、改めて医療機関の従業員その他ご協力いただきました関係者の皆様に御礼申し上げます。

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ジェンダーレス賞

株式会社
ラッシュジャパン
20年10月に、ダイバーシティ&インクルージョンの観点から一部の商品名を変更。男女いずれかの性別を示唆するような言葉が含まれる商品名絵を新しい名前に変更した。

審査員コメント

鹿毛 康司

一見地味な活動に見えますが、ネーミングを11種類変更するにはそれなりの社内の見えない活動があってこそです。
その変更の理由が、ダイバーシティやインクルージョン視点だと言うこと自体が企業の大きなメッセージとなっているところに秀逸さを感じます。

津田 大介

人々の意識を変えるうえで「名称変更」がもたらすことの意味は大きい。
ドイツではかつて生活困窮者への金銭支援が日本の「生活保護」に近い名称だったが、現在はそれを「雇用保険2」という名称に変えたことで、受給者への偏見が減る効果がもたらされた。
「ポリコレでなじみのある商品名も使えなくなった」というネガティブな文脈ではなく、企業姿勢を明確に示すポジティブな変更と捉えるべき案件。

桑江 令

2020年もいくつかの"ジェンダー炎上"が話題になったのですが、そうした中で企業姿勢をしっかりと示す行動だと感じます。
SNSなどでの発信だけではなく、商品名変更というより"本気度"を感じさせるポジティブな活動は、企業におけるインクルージョン視点でのコミュニケーションとして素晴らしかったと思います。

芳賀 雅彦

目先の儲けではない、未来への戦略と投資。
ダイヴァーシティ&インクルージョン、人権やSDGsなど世界標準になるであろう時代を見据えた大きな投資であり、戦略ととして評価したい。
日本では、この手のテーマは、主体的に取り組んだことが無く、なかなか腹落ちしにくいが、国や企業のリーダーは、20-30年先の未来を見据えて、構想力と決断力が、当然求められている。素晴らしい決断だと思います。

受賞コメント

この度は、ジェンダーレス賞をいただき、誠にありがとうございます。
ラッシュでは、これまでも「All are welcome, Always」を信念に掲げ、LGBTQ+や難民をはじめ、誰もが平等に自分らしく暮らせる社会を目指し、様々な取り組みを世界中で展開してきました。
しかし、世界中でムーブメントとなっているBlack Lives Matterの問題に真剣に向き合った際に、社内にも無意識のうちに構造的差別が存在していることに気づかされました。
ラッシュグローバル、そしてラッシュジャパンとしても、真の意味で「All are welcome, Always」を体現するべく、ダイバーシティ&インクルージョンを反映させた社内の仕組み作り、職場環境の構築、コミュニケーションの見直しが必要であると考え、実行を継続しております。
そのような中で、今回のような賞をいただけたことは大変光栄ですし、これまで信じてきたことを評価いただけたことに関して、社員にとって今後の大きな励みになることは確かです。
ラッシュと関わると誰もが自分らしくいられる、そんな存在になれることを目指し、今後もさらに気を引き締めて取り組んで行けるよう精進してまいります。

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優秀賞企業一覧

  • 楽天モバイル株式会社

    「日本の携帯は高すぎる!」というCMインパクトとサービス内容、そしてケータイ業界へのインパクトが評価された。

  • アパグループ株式会社

    全国のホテルでコロナ感染者の宿泊を受け入れ「英断」と評価された。
    >インタビュー記事はこちら

  • カルビー株式会社

    商品のSNSアカウントを活用したキャンペーン企画が高い評価を得た。

  • サイボウズ株式会社

    「がんばるな、ニッポン。」と題したCMがSNSで広まり、新たな働き方を広く推奨する広告が話題となった。
    >インタビュー記事はこちら

  • 岩下食品株式会社

    社長自らがエゴサーチし率先して返信対応した事で、ユーザーから高い評価を得ることができた。

  • 株式会社スシローグローバルホールディングス

    人気のない渋谷スクランブル交差点での広告や関連ハッシュタグが人気上位になるなど、SNSやPR活動で高評価を得た。

  • 明治学院大学

    全ての学生にオンライン授業のための準備金を支給するなど、他の大学の先陣を切った対応が賞賛された。

  • 島根県

    「早く会いたいけん、今は帰らんでいいけんね」という方言で、帰省自粛を呼びかける新聞広告が「心に響いた」と高評価を得た。

  • 劇団ノーミーツ

    「NO密で濃密なひとときを」をテーマに、稽古から上演まで全てフルリモートで対応する「オンライン演劇」が話題となった。

  • 貝印株式会社

    「#剃るに自由を」といった体毛処理の多様性を伝える広告を本来は剃毛を促進したい立場から実施し大きな話題となった。

  • 株式会社ワークマン

    「#ワークマン女子」が大反響になった事やアンバサダーを活用したマーケティングが注目された。

  • 株式会社JTB

    苦境の業界の中で、「ふるさとコネクト」「バーチャル修学旅行」にPCR検査・抗体検査キットの販売などサービスが注目された。

  • 株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ

    結婚式準備を楽しむためのオリジナル動画配信サービスが、業界に先駆けて日程変更料免除の対応をし高評価を得た。

  • RIZAPグループ株式会社

    「TikTok」「YouTube」を活用して自宅トレーニングを推進したSNSが話題となった。

  • 九州旅客鉄道株式会社(JR九州)

    新型コロナウイルス感染症が終息する日を願って制作した、九州各地の人達の笑顔を集めた動画が「心温まる」とSNSで話題となった。

  • 株式会社のと楽(森の栖リゾート&スパ)

    プランの宿泊代の半分を医療従事者に寄付する「自粛警察、お疲れ様です!プラン」がSNSで注目を集めた。

  • 株式会社ジャニーズ事務所

    コロナ基金を設立しての寄付や、所属タレントによる「手洗い動画」などの啓蒙活動、無観客配信などでファンを魅了した。

その他の審査員コメント

中川 淳一郎

アホなことに対して「お前らはアホだ」ときちんと言い切ったことがいいです。(サイボウズ株式会社)

同社社長は、過去にも怪しげなペンライトを作ってネットで評価をされるなどしてきました。ネットの「風」をキチンと読む方です。そこは素晴らしい(岩下食品株式会社)

バカがネットで騒ぐことに対して企業がビビる風潮をぶっ潰して欲しい。この企業はそれをやった。立派である!(某食品メーカー)

もう、「過剰反応だらけじゃないの?」という日本のコロナ対策。そこに対して皮肉をガツンとかましたこの企業は立派。「一体お前らウンコどれだけするの?」1年分のウンコ、小便を拭くための紙を買って何がしたいの? 別のことのためにカネ使えや! むしろ我々の今回の「〇〇牛」にカネ使ってね! という挑発的姿勢も立派。(某流通グループ)

ヨッピー

コロナ禍で飲食店や旅行業界に対する同情や応援する企画などはたくさん行われた一方、実家にも帰れず、バイトにも行けず、授業にも出れないという苦境にある学生は置き去りにされがちだったのではないかと思います。本当に可哀想。(明治学院大学)

「自粛警察、お疲れ様です!プラン」がTwitterに流れてきた時は笑ってしまいました
これぐらい攻めた企画は大手企業からももっと出て来ても良いのではないでしょうか。(株式会社のと楽)

とにかく早かった。新型コロナウイルスの報道が本格化しはじめたのが2020年2月頭ごろ、その二か月後にはこの動画を公開。何かと時間のかかるCM撮影をこれだけのスピード感でやり遂げたのは素晴らしい。この頃、仕事が全部延期になって家でゴロゴロ寝ていた自分に喝を入れたいです。(某医薬品・食料品メーカー)

ある程度批判の矢が飛んで来る事は覚悟の上での公開だったのではないでしょうか。「炎上」を恐れ、何かと守りに入りがちな企業PRに一石を投じた内容だったと思います。企業のPRに携わる人は「全ての人に批判されないコンテンツなど存在しない」という事にそろそろ気づくべきです。(某アパレルブランド)

企業は「炎上」を恐れるあまり、何かあるとすぐに謝罪し、作品をひっこめる傾向にあるが、筋違いの批判に対して安易に謝らなかった事、責任の所在を明確にした事は素晴らしかった。良いモデルケースになる。教科書に載せたい。(某食品メーカー)

桑江 令

個人的に憂慮していた演劇界において、一度も出演者やスタッフが顔を合わせることなくオンラインだけで完結してしまうという「新たな演劇のカタチ」を示してくれたことに拍手をしたいと思います。
実際に公演を見て「ZOOMだけでここまで表現できるのだ」と感動したことを思い出します。
また、そもそもの旗揚げのきっかけとなったのがTwitterでのショート動画だったということもこの劇団を物語るユニークな点ではないでしょうか。コロナ禍だからこそ生まれた劇団が、withコロナの2021年にどのような活動を見せてくれるのかが楽しみです。(株式会社劇団ノーミーツ)

Twitterならではのユーモア溢れるプラン。
結果的に見れば成功だったわけですが、実際に実行する際には相当の勇気が求められてしまうご時世だったりするわけです。
それでもこの企画を通してやり切った担当者の方々の勇気と、しっかりと表現などにこだわって炎上させなかったバランス感覚に敬意を表したいと思います。
こういうものこそSNS時代のコミュニケーションの醍醐味ですね。(株式会社のと楽)

今や100%賞賛されるコミュニケーションが存在しない世の中において、ある程度の批判は覚悟の上で自分たちの企業としての姿勢をしっかりと示したCMは、想定通りに賛否の声が上がりつつも目的であった「企業姿勢を伝える」というコミュニケーションにおいては成功だったように思います。ネットでの批判の声に迎合しがちな昨今、しっかりとした覚悟で意見を主張する姿勢にハッとさせられた企業の担当者も多いのではないでしょうか。(某アパレルブランド)

倉田 真由美

私自身、脇毛は脱毛しているが、だからといって「女性は脱毛するのが当たり前で、マナー」とは思っていない。
自由な選択肢があるべきで、それを脱毛推進側の貝印が提唱するという驚きと面白さがあった。(株式会社貝印株式会社)

絵のもつインパクトは絶大だな、と感動。
ごく普通の人たちのたくさんの笑顔に勇気づけられる。
皆大変だけど皆頑張っている、外連味のないその圧倒的なリアルを伝えることの意味を教えてくれた。(九州旅客鉄道株式会社)

現代、物議を醸しかねないメッセージ性があるものは避ける傾向がある中、勇気のあるCMだった。批判は十分承知だったはずで、敢えて展開していくことで皆に考えるチャンスを与えてくれた。(某アパレルブランド)

村上 憲郎

コロナ禍の副次的な効果として、テレワークという新しい働き方が生まれました。
これまで、「真面目な」日本の勤労者は、満員電車に詰め込まれ、定時出勤ということを疑うことなどなく、文句も言わず、勤勉に務めを果たしてきました。
それに対して、敢えて逆説的な「頑張るな日本」という優れたキャッチを勇気を持って打ち出されたことを評価したい。(サイボウズ株式会社)

コロナ禍は、企業業績を直撃するとともに、働く人達の生活も直撃しました。その中で、従業員の生活を守るということを優先し、特別ボーナスの支給に踏み切るとともに、敢えて、新規雇用に踏み切って仕事を失った方々へ、温かい手を差し伸べたことが、期せずして、企業イメージの向上に繋がった点を、評価したい。(某総合スーパー)

古田 大輔

コロナの影響を強く受けている劇団の人たちが、その状況を逆手にとってフルリモートで演劇を生配信する。
それ自体がドラマみたいで、しかも完成度が高い。
最高です。(劇団ノーミーツ)

トイレットペーパーを大量に並べるまでは思いつく人も多いと思いますが「おひとり様10点まで」のポップには思わず笑ってしまう。良いことを、遊び心を持って。見てて嬉しくなります。(某流通グループ)

新型コロナウイルスの感染拡大、緊急事態宣言。撮影すら難しい中でどういうCMを作り、メッセージを発信するか。コロナ禍だからこそのCMに脱帽しました。(某医薬品・食料品メーカー)

日本国内の差別問題を取り上げたCMには賞賛とともに反発の声も広がりました。「大炎上」という評価もあった。けれど、この企業はそういった反応も当初から予期していたでしょうし、CM動画についても修正や削除などはしていません。その覚悟や対応も含めて、ネットでの企業の情報発信のあり方を示したと思います。(某アパレルブランド)

自社の製品だけでもできないこともないだろうに、あえて競合の食品メーカーも巻き込んでいるところが、実用性だけでなく、企画に温かみを加えていて、コロナでギスギスしがちなソーシャルメディアを和ませてました。(某調味料メーカー)

津田 大介

ツイッター上のトラブルや困りごとをエゴサーチして、解決法を当該ユーザーに送る「アクティブサポート」はソフトバンクグループが広め、ここ10年ほどで確立された方法論。
岩下社長は、アクティブサポートに加えて、人気ツイッターアカウントの方法論を組み合わせ、実名かつ決定権のある立場から様々な施策を繰り出す柔軟さが魅力
ファンとのコミュニケーションの深さという点では断トツ。(岩下食品株式会社)

有名なスローガンの30周年記念キャンペーンに国歌斉唱の際に片ひざをつくことで人種差別に抗議したNFLの元クオーターバックの選手を起用して以来、政治的・論争的なテーマのメッセージを打ち出企業姿勢に転換したこの企業が日本でも同様のマーケティングを開始。日本社会に存在する不可視化されがちな差別問題を正面から取り上げ、クレームに対しても毅然として対応するスタンスがよかった。(某アパレルブランド)

もっとも身近な「ジェンダーギャップ」である家事としての料理に目を向け、ただつくるだけでなく、献立決めからコスト、調理順、片付けまで複雑なタスクをいかに複雑であるのか可視化した点が重要。1日だけ夫にやらせるのではなく、2日間やらせることでより大変さが伝わり、かつポジティブな方向への解決策も示している。社会的意義が高いだけでなく、この企業の「惣菜」の控えめなプロモーションにもなっており非常によくできた動画。(某総合スーパー)

鹿毛 康司

エンターテイメント業界では超ビッグアーティストほど、コロナによるイベント中止が打撃となりました。
金銭面でもファンからのクレームも含めて大変な状況です。一方でエンタメの世界で今まで存在が小さかった人たちが、コロナだからこそのエンタメ発信に工夫を凝らしました。
その先がけとなったのが、劇団ノーミーツだとおもいます。
そのやり方そのものがエンタメでした。(劇団ノーミーツ)

人は経済合理性では動いていない。だから本来ある在庫のトイレットペーパーの買い占めなどが起きるということを、ちゃんとこの企業はわかっていたと思います。買い占めに走る人たちの心を鎮めるたった1枚の写真。発注から陳列、商品補充をやってのけた従業員はどんな気持ちで活動したのだろう。そんな従業員の心までも発信しています。(某流通グループ)

企業は何のために存在するかを明確にする必要があります。この企業はずっとそれをやり続けているわけだけど「批判覚悟によくやった」という手法レベルではないんですよね。それは小手先クリエイティブの話では絶対にないのです。世界の嫌な流れに向かって自分らしく生きるをテーマにした企業のパーパスの覚悟でした。なかなかマネできないのはその重い覚悟がそこにあるからだと思います。(某アパレルブランド)

山口 真一

難しいテーマについて、アスリートの「リアル」を描くことで問題提起した素晴らしいCMでした。また、批判を受けてもぶれない対応からは、会社が信念を持ってやっていることが良くわかります。内容が最後にはポジティブなのも優れた点だと思いました。(某アパレルブランド)

徳力 基彦

一部メディアでは炎上と報道するところもあったが、俯瞰的に見ると評価する投稿が多かったように感じます。多くの企業が炎上を恐れて、表現を丸めたり、炎上報道後にコミュニケーションを止めてしまったりする中で、ぶれない姿勢を見せられているのは流石だと思いました。(某アパレルブランド)

コロナ禍におけるトイレットペーパーの品不足という状況に対する非常に良いカウンターだったと思います。厳密な意味でのデジタルコミュニケーションではないのですが、明らかにツイッターやインスタへの投稿を意識された施策だったのではないかと想像しています。(某流通グループ)

直接取り組みについてのお話しをお聞きしたこともありますが、ライバルメーカーである食品メーカーが横断的に「#うちで食べよう」というテーマでつながるというのは、ネットならではで、素晴らしい取り組みだったと思います。(某調味料メーカー)

コロナ禍において、ツイッターやYouTubeを組み合わせて、ドラッグストアチェーンの立場から積極的に情報発信をされていたのが非常に印象的でした。この企業のコミュニケーションのアプローチは他社にも参考になると思います。(某ドラッグストア)

沼田 知之

誰もが社会に向けてゼロコストで発信できるネット空間では、どんなPRも曲解されたり、特定の立場の人々から反発を受けるリスクがある。炎上を事前に予期し、無用な軋轢を回避することは必要だが、反発を受けた場合にも反射的に謝罪・撤回するのではなく、何が問題だったのか/問題ではなかったのか、冷静に検討した上で対応したい。反発を真摯に受け止めた上で、自社の責任において公開を再開した本件の対応は一つの模範例である。(某食品メーカー)

危機対応時の対応がポジティブに受け止められるためには、平時からの情報発信・コミュニーションをどれだけ丁寧に行っているか、自らの哲学が顧客や社会にどれだけ浸透しているかが重要なポイントとなる。細部にこだわる姿勢が知られているからこそ、長期休園やキャパシティコントロールに対してもポジティブな反応が得られたものと考えられる。(某アミューズメント施設運営企業)

No.11の丸富製紙はメーカーとして在庫の豊富さをTwitterで発信したのに際し、こちらは店頭に大量に陳列された商品の写真がSNSで拡散されたことで、在庫の豊富さや買占め防止の取組みが伝わった事例。デジタル・コミュニケーションにおいては、自らがデジタルで発信するメッセージだけではなく、オフラインでの取組みをユーザが発信し、展開することで伝わるメッセージも重要であることを再確認させてくれた。(某流通グループ)

芳賀 雅彦

みんなから、ファンベースの時代へ。「デジタル・クライシス白書2021」にもコメントしましたが、SNSでの評判・評価が、100%賛同を得られることの無い時代を迎えています。「Our purpose is to unite...」という企業理念を持つ、この企業の“意志”を感じるキャンペーンです。そして、この企業のファンやスポーツをする・関わる人たちには更に深い共感をうみだしているのは間違いないと思います。(某アパレルブランド)

定番だが、期待通りに最先端の現場力を発揮。長く高校生(の等身大の目線)を主役にしてキャンペーンを展開しているこの商品らしいキャンペーン。自粛中という環境を逆手にとり、オンライン(的な演出)を最大に活用。出演している高校生たちも好感が持てます。(某医薬品・食料品メーカー)

平時の当たり前のことを当たり前にできる底力。2020年は、Covid-19の世界的な感染が、世界中の企業、政府や人々に大きな影響を与えました。今までの当たり前の生活にできなくなり、企業や政府も急激な変化に十分な対応ができず、成果も上がっていないのが現状です。大部分の人々も、終りの無い状況に不安や閉塞感を感じていると思います。その中で、Covid-19へ対応を導入した上でも、それを感じさせない、非日常を変わらず楽しませてくれるこの企業の一連の対応に対する“平時と変わらぬ神対応”のは、最高の評価だと思います。(某アミューズメント施設運営企業)

JDCアワード総評

桑江 令シエンプレ株式会社 主任コンサルタント
シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所 主席研究員

今回初めての試みとなりましたが、5000人以上のユーザー及び12名の審査員の意見を踏まえ、30社のノミネート企業と5社の受賞企業を選定させていただきました。
2020年は御存じの通りCovid-19の流行により企業の広報・PR活動やプロモーション活動においても大きな変化が生じた年となりましたが、今回選定された企業はどの企業も難しいコミュニケーションが求められる中で、自分達に出来ることは何かという姿勢からポジティブなコミュニケーションを行い、それが不安を抱えたユーザーに受け入れられたのだと思います。
また残念ながらノミネート辞退となった企業の中においても、一定数の批判を覚悟の上で起業としての主張を示すCMを発信した企業など、単にユーザーに迎合するのではなくしっかりと向き合いメッセージを発信することの重要性を示す一年だったと考えています。
SNSの利用者が増え、様々な視点でのデジタルシフトが起きている中で、各企業のコミュニケーション事例が2021年のデジタルコミュニケーションのヒントになれば幸いです。

佐々木 寿郎シエンプレ株式会社 代表取締役社長
シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所 所長

1年間を通して受賞企業以外にも素晴らしいコミュニケーションを取り、バズった企業が数多くありました。これは、炎上とは対極に位置するものです。
奇をてらい”バズる”ことに主眼をおいた施策は必ず裏を見透かされ、炎上へと繋がります。
一方、称賛されるコミュニケーションは、私心を廃し、ユーザーや受け手の立場、心理、心境を真剣に考えた結果のものであり、自然とバズったものであると考えます。
炎上とバズ、この本質的な違いを受賞企業の事例から改めて認識して頂ければと思います。
また、炎上を恐れ積極的な情報発信、SNS運用に躊躇する企業が多くありますが、自社のファンを醸成する武器を放棄することであり、非常にもったいないことだと考えます。
炎上と騒ぎ立てられても、実際には批判をしている人は0.5%程度と言われており、ただの言いがかりでしかないことも多くあります。
その場合、一時は盛り上がってもすぐに収束することが大半です。
今回ノミネートを辞退され発表されませんでしたが、某アパレルブランドが人種差別を取り扱ったCMを制作されました。賛否両論あったものの、批判を承知で企業のポリシーを貫くという、多くの企業が学ぶべき姿勢であると考えます。
過度に炎上を恐れることなく、言いがかりと炎上の違いを正しく認識し、本質を追求した結果の企業姿勢をデジタル上で表現していく会社が増えることを切に願っております。